片渕須直がアリーテ姫の直前に、新人育成の依頼を受けて4℃からジブリに出向していた頃の話
資料を要求してまぁ良いかとなる雑想ノート執筆中の宮崎駿と、間違いを指摘しちゃう片渕須直
宮崎駿の雑談相手にジブリ出向の延長を打診される等 大変仲良くやっていた模様

β運動の岸辺で 第55回
ttp://style.fm/as/05_column/katabuchi/katabuchi_055.shtml

以前、『天空の城ラピュタ』の構想中に「高射砲塔が出る」というので、市街地を見下ろす立地から高射砲が発砲するとどうなるか、と広島の江波山高射砲陣地の話をしてみたことがある。
低空で侵入してくる敵機には俯角射撃を行わざるを得ず、それは自分たちが守るべき町に直接砲弾を撃ち込む行為となってしまうのだ、と。
 そのときは「ふーん」とかいわれてしまうのだけど、いつの間にかそれがモデルグラフィックスの漫画に描かれてしまったりするのだった。
そういうところは「結果的に」信じてくれちゃうのである。

 このとき描いていたのは「豚の虎」という話だったが、また「おーい、ちょっとー」と声がかかって小部屋に呼ばれ、
 「お前、このあいだ、ドイツ軍の補助車両の載ってる本持ってただろう。あれ、貸せ」という。
 「だって、宮崎さん、こんな戦わない車の本は大塚さんしか興味持たない趣味だ、ってけなしたじゃないですか。だからもって帰っちゃいましたよ」
 「ちぇっ」
 「なんなら……明日なら持ってきましょうか?」
 「いい。適当に描く」

 新人養成の仕事が終わって、さあ、そろそろジブリを離れるか、と思っていた頃、プロデューサーの高橋望さんに「話がある」と呼ばれた。何事かと思ったら、
 「ジブリの社内に残ってくれませんか?」
 という。
 「宮崎さんのミリタリー関係の話し相手になれる人材がほかにないんですよね。宮崎さんのミリタリー関係話し相手担当、ということで残ってもらえないか、と」
 うーん。それはどうなんでしょ。
 とにもかくにも、4℃には仕掛り中の『アリーテ姫』が待っているのだった。
 ということで、2代目の園芸部長は美術の久村佳津さんに任せて、サヨナラ、ジブリ。