>>655
宇田
今回注意したことのひとつに「ここが泣かせどころ」というシーンはつくらないようにしました。なぜかというと、観る方の体験に
よって、琴線に触れる箇所は違うはずでしょう。盛り上がりの起伏は用意しましたけど、あとは自由に感じていただければと思います。

新海
構成で一番意識していたのは、107分という時間軸を“コントロールしつくす”ということですね。107分を、観客の喜怒哀楽すべての感情で
惹き付けられるようにしたかったんです。
予測させず、飽きさせず、かといって迷わせることもなく、常に映画の時間のほうが観客の理解の少しだけ先に行っていて。でも、時々
立ち止まって観客の理解が追いつく瞬間を作って、それをまた引き離して。
絵コンテを描いている時も、観客の気持ちをひたすらシミュレーションしながら、107分で一つの音楽のようなものを奏でるんだ、という
つもりで作りました。そこが一番こだわったところでしょうか。