”三葉による父親への説得シーン、住民の避難の描写が欲しかった”

こう思う人はハッピーエンドだと分かった上で映画を観に行っている人です。
あったらあったで感動的な場面になっていたことでしょうが、ここは選択肢で
省かれたのではないかと考えます。

まず第一に、町が彗星落下によって破壊されるという設定なら、
アニメーターなら視覚に強烈に訴える破壊シーンを描写したいと
思うのではないでしょうか。破壊シーンの前に説得→避難の描写があれば、
流石に人々が助かると観客が思います。

しかし監督はあくまで緊張感を持ったままあの破壊シーンを観せたかった。
公開初日に前情報無く観に行った人なら、あの展開で糸森町の住人が
助かったのかしばらくわからず焦ることでしょう。

まして新海作品、観客の淡い期待は平気で裏切ります。
その分、三葉達が救われていたという事実で得られるカタルシスは大きなものとなります。
一方、破壊→救済→説得シーンという時系列の倒錯手法もできなくはないですが、
救済されていることが分かっている分シーンの緊張感は弱まり蛇足的です。
このような経緯で省かれた描写だったのではないでしょうか。