高畑勲、「巻き込み」型アニメを憂う

 たとえば、個人ですべてをCG制作したことで評価された『ほしのこえ』という中編アニメがある。
(略)特徴のある絵ではないしアニメートもほとんどなされていないけれども、映像の出来は決して悪くない。

 私はこれをまったく評価できず、ワンアイディアによる「(子供ではなく)青年だまし」で、 「くだらない」としか思わないが、
巧みな表現によって社会性のない現代青年の心をくすぐり、 琴線に触れることができたようで、売れ行きもよく、いくつか受賞もした。

要するに、作者はみずから作り手になることによって見事に 「そういう世界から卒業・脱出しないまま、それでも現実を生きる」
ことに成功した一人であり、 「卒業」や「自分の非成長の確認」をしたくない若者に支持され、 その現象全体を情報メディア産業
(とは何のことか分からないが)推進派の脳天気なおじさんたちが追認したのだと思われる。