>>94
>>163に貼った映画評論では蒸気機関車ら石炭を燃やして走る列車で、その脱線は炎の呼吸の煉獄杏寿郎の死亡フラグという解釈も載ってたな。

https://realsound.jp/movie/2020/11/post-657241_4.html

(前略)

 もうひとつ加えるなら、本作に登場する列車が蒸気機関車であるというのは、大正時代という歴史的背景の必然性以外に、とあるキャラクターを表象しているという点でも重要だろう。むろん、煉獄のことである。

 石炭を燃やす炎の力で動く蒸気機関車を舞台に、炎柱である煉獄の活躍が描かれるのは、物語とキャラクターが舞台と密接にかかわり作品の表現としての密度を高めている。蒸気機関車の脱線による運動の停止は、煉獄の死の暗示でもある。漫画では死にゆく煉獄と脱線した列車を一緒に描くコマはないが(週刊連載でそこまで背景を描きこむのは困難だろう)、映画ではワンショットで煉獄と列車を収めることで喪失感を二重に描きこんでいる。列車の運動の喪失と煉獄の命の喪失。本作の結末を多くの観客が知っているにもかかわらず、一層やるせない感情を抱き涙を流すのは、こうした批評性と、巧みな映像による象徴表現があるからだ。

 『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、映画史が列車とともに刻んできた運動の快楽、モーションとエモーションの融合、そして映画と観客の関係性への批評的考察までが(半ば偶発的に)含まれた稀有な作品だ。列車が動き出す冒頭のワクワク感に始まり、朝日に照らされた、脱線して運動することのない列車と煉獄の命の喪失感で締めるこの作品は、モーション(運動)によってエモーション(情動)を描き続けた映画史に連なる見事な映画である。