■宮崎駿「僕がいま純粋娯楽漫画活劇を作らない理由」
 (1989年7月 「Comic box jr」 のインタビューより)

「今の時代、素朴な動機でやっていけなくなってる。
ビッグになりたい、 リッチになりたい、女をモノにしたい、
っていう根源がどこかで崩壊 している。
素直に信じられなくなってるんです、僕らは。」

「世界の敵役がいればいいんですけどね。だけど現代、僕らが抱えてる
悪の問題っていうのは、自分たちの日常を基盤にして生まれてるもの
なんですよね。その飽和が地球を汚染して、日本にバカなことをさせている。
どこかに影の支配者がいて、っていう話が多いけど、それは違うでしょ。
そんなの問題の根源から随分ズレている。
一番自分たちを苦しめている のは根源の問題なんです。
それは一番通俗的じゃないものでしょう」

「それで僕がその根源ににじり寄ろうとすると、とたんに
『昔の方が よかった』って言う若者たちがいる。
そういう若者のために自分の 残りわずかな時間を費やしたいとは
思っていないんです」

「ぼくは日本のアニメーションが一番やっちゃいけないのは、
ファンというものはこういう人たちだと限定して、特に好きもんの活動をしている 人たちを相手に作っちゃうことなんです。
アニメーションなんか全然 見たこともないっていう人が見ても
納得できるものを作るにはどうしたら いいか、
その普遍性ににじり寄っていかないと映画というのはやっぱり
ダメなんだということです」