グロテスク
怪異な、奇妙な、こっけいな、といった意味の英語,フランス語。
元来は古典古代の装飾文様の一種で、唐草模様の中に人間や動物や植物や空想上の生物を奇想風にあしらったものをさす。

グロテスクは恐ろしさとおかしさの二つの要素から成り立っている。
したがって、おおまかには恐怖をそそるグロテスクと遊戯的なグロテスクとの2種に分けることができるが、
諧謔を欠いた恐怖のみのグロテスクがほとんどないのと同様に、恐ろしさの影のない完全に遊戯的なグロテスクも存在しない。

言い換えれば、これは恐ろしさとおかしさといった一見結びつきようのない二つの要素をおもな構成要素とするパラドックスの表現であり、
因襲的な規範を拒絶したり、そこから逸脱することによって生じた自由さを何よりの特徴とする。

この自由さの下に既成のイメージが解体され、部分が誇張されたり変形されたりしたのち奇怪な再構成を受ける結果、グロテスクには戯画化がつきものとなる。
それは想像力の戯れというよりも、むしろ戯画化を必要とする主題に応じたものであって、
グロテスクと感じられた現実のリアルな描写にもひとしく、批評的な機能を持たないではいないのである。