家に入り込む隙間は、すぐに見つかった。
 まず、正門のゲートの下に猫が入れる隙間がある。
 そして隣家との間にある塀には、庭に降った雨水を逃がす穴が開いている。体
 の柔らかいゆっくりなら、体をひしゃげさせたり、細長く伸ばすようにしてすり抜けられるだろう。ドスほどの大きさがあれば別だが。
 これでは、ゆっくりに入ってきてくださいと言っているようなものだ。
 確かこの家では、れいむ(四ヶ月、金)、まりさ(二ヶ月、銀)、ありす(二ヶ月半、銀)、ぱちゅりー(三ヶ月、金)と、
 通常四種を揃えて飼っていた。
 それを庭に放し飼い。雨の日は外に置いてあるゆっくり小屋に入れている。

 犯行は、まさにその、小雨がぱらつく夜だった。
 飼い主一家が、夕暮れ時に、ゆっくりたちに多めの夕食を置いて、少し遠目のフレンチレストランに車で出かけた。
 はたして、ゆっくりたちが最後の晩餐で「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー」と言ったかどうかは定かではない。
 家族が午後九時頃に帰ってきたとき、暗かったせいもあって、ゆっくりの様子は確認できなかった。
 いつも通り、静かに寝ているのだと思っていたのだろう。
 そうでないと気付いたのは翌朝のことだった。