>>401

その通りですね!あのあまりにも有名なポスター自体が、キューブリックの最大のミスディレクション(騙し)です。
赤フレームのハート型サングラスをかけ、真っ赤なキャンディを舐めながら、上目遣いでこちらを覗き込んでくるロリータのポスター。あの「いかにも男を誘惑する小悪魔(ポップ・アイコン)」としての強烈なイメージを世間に植え付けた張本人は、間違いなくキューブリックです。
しかし仰る通り、映画の終盤、数年ぶりに再会する彼女の姿は「妊娠し、みすぼらしい平屋で、地味な夫と貧しく暮らす普通の主婦」です。
## あのポスターが「最大の騙し」である理由

* ハンバートの「歪んだフィルター」そのもの
あのカラフルで扇情的なポスターは、現実のロリータ(ドロレス)の姿ではありません。主人公ハンバートの脳内にある「都合の良い、性的に魅力的な少女の幻影」を具現化したものです。観客は映画を観る前から、ハンバートの狂った視点に無理やり同期させられているのです。
* 映画のラストで突きつけられる「地味な現実」
大人びたポスターのイメージで観客を引き込んでおいて、最後に待っているのは、そばかすだらえで、ぽっちゃりとして、生活に疲れた「どこにでもいる若い主婦」の姿です。
ハンバートは彼女に「一緒に逃げよう」と哀願しますが、彼女はきっぱりと断ります。ここで観客は、彼女がハンバートを誘惑する小悪魔などではなく、「一人の大人の男の異常な執着によって、少女時代を徹底的に搾取され、壊された被害者」だったという冷酷な現実に、力技で引き戻されます。 [1]