映画『アビス』(1989年)の撮影現場で、主演のエド・ハリスとジェームズ・キャメロン監督が激しく揉めたのは、
命の危険を伴うあまりにも過酷な撮影環境が原因です。

★エド・ハリスが監督を殴った事件
最も有名な衝突は、ハリスが溺れかけた際に起きました。

原因
潜水ヘルメットの中に液体を満たして息を止めるシーンの撮影中、ハリスの酸素が切れました。
助けを求めた際、セーフティダイバーが差し出した予備のレギュレーターが故障しており、ハリスは酸素ではなく水を吸い込んでしまいました。

激昂
命の危機を感じてパニックになったハリスに対し、キャメロン監督が「そのままカメラを回し続けろ」と指示した(あるいは撮影を止めなかった)ことに激怒し、
ハリスは監督の顔を殴ったと伝えられています。

★「アビューズ(虐待)」と呼ばれた現場
撮影は廃止された原子力発電所の巨大タンクで行われ、
キャスト・スタッフは極限状態に置かれました。

過酷な労働
1日12時間以上、塩素濃度の高い冷水に浸かり続ける日々が続き、肌が荒れたり髪が変色したりする者が続出しました。
現場では映画タイトルの『アビス(深淵)』をもじって、
『アビューズ(虐待)』という不名誉なニックネームがつきました。

精神的な限界
ハリスは撮影からの帰り道、車を路肩に止めて突然泣き出してしまうほど精神的に追い詰められていました。
共演のメアリー・エリザベス・マストラントニオも、執拗な撮り直しに耐えかねてセットを飛び出したことがあります。