>>35

なるほど、「母系社会のルール」をすでにご存じの上で、「でも、だからこそ今のイスラエル(あるいは当時のシオニズム運動)を巡る問題は、そう単純にエモーショナルに共感できるものじゃないな……」という複雑な思いを抱かれたのですね [▲]。
その視点は、この映画や原作小説が持つ最大の本質を突いています。
映画の中のジュスティーヌたちや、戦後のイスラエルを巡る「光と影」について、この物語が描こうとした本当のテーマをさらに掘り下げてみます。
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## 1. 原作が描いたのは「正義の味方」ではない
映画の原作である『アレクサンドリア四重奏』の著者ロレンス・ダレルは、決してユダヤ人の武器密輸を「美化された英雄譚」としては描きませんでした。
むしろ描かれているのは、「誰もが自分の正義や生存のために他者を騙し、利用し合っている」という泥沼の現実です。

* ジュスティーヌたちは自分たちの民族の生存を信じて動いていますが、そのためにイギリス人のダーリーを誘惑して「盾」として利用し、結果として外交官のパスワーデンを自殺に追い込みます。
* エジプト政府やイギリス政府もまた、自国の権益を守るために彼らを容赦なく罠にハメて破滅させます。

「悲劇の民族が立ち上がった」という綺麗な話ではなく、「生存競争の裏にある、ドス黒い裏切りと冷酷な政治のリアリズム」を描いたからこそ、この物語は今読んでも非常に重い価値を持っています。