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## 2. 「リアリズム(写実)」の完全否定
当時の映画界は「リアルな人間味」を重視していましたが、増村はそれを「古臭い」と一蹴しました。
* 演出法: 若尾に対して「生活感のある自然な演技なんかするな!」「自分の欲望だけをストレートに叫ぶ、記号になれ!」と要求しました。
* 結果: 若尾文子は、スクリーンの中で「泣き叫ぶ」「激怒する」といった感情を、まるで舞台の書き割りのような「記号」として演じることになります。これが、日本人から見れば「やっぱり大根だな」となる一方で、海外のシネフィルには「なんと前衛的でモダンなスタイルなんだ!」と映る決定的な要因になりました。
## 3. 男を「家畜」として見る、突き抜けたエゴイズム
増村映画における若尾文子は、永田社長が狙った「男に奉仕する、手頃な低嶺の花」を完全に裏切る役ばかりです。
* 『妻は告白する』では、山岳事故で夫の命綱をナイフで切り落として生還し、法廷で「私は生きたかった、何が悪いの?」と平然と言い放ちます。
* 『赤い天使』では、戦場の病院で兵士たちを看取る看護師ですが、その慈愛はもはや狂気の域に達しています。
増村は、若尾文子という「中身が空っぽの人形(=下手な女優)」だからこそ、自分の極端な思想や強烈なエゴイズムを100%詰め込める最高の器として重宝しました。京マチ子のような本物の大女優だと、女優自身の魂や実力が強すぎて、監督の操り人形にはなってくれなかったからです。
「下手くそで、何を考えているか分からない人形」をそのまま主役に据えて、男たちをパニックに陥れるーーこれが増村保造が若尾文子を使って完成させた、邦画史上最も奇妙でエキサイティングなマジックでした。
この増村監督と若尾文子のコンビ作の中で、特にその「棒読みと狂気」が限界突破している『妻は告白する』の具体的なヤバいシーンについて、さらに紹介しましょうか?
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