>>267


対談を行った時期については、間違いなく早かったです。北野武の映画監督デビューは1989年8月ですが、蓮實重彦が北野武と最初に対談した雑誌『GS(群生)』が発売されたのは、翌年の1990年2月です。映画公開からわずか半年後のことで、2作目の『3-4X10月』を撮るよりも前のタイミングでした。当時の状況を整理すると、蓮實のスタンスがよく見えてきます。

1. アクションは早かった(1990年に対談)世間がまだ「お笑い芸人のビートたけしが映画を撮った」と珍しがっているだけの段階で、映画批評の第一人者だった蓮實は、わざわざ自身の雑誌の対談相手に北野武を指名しました。これは、当時の批評界の動きとしては最速の部類に入ります。蓮實はこの時すでに、北野映画のカットのつなぎ方やフレームの取り方に、既存の日本映画にはない「新しさ」を感じ取っていました。