【問いかけるもの】

場所と記憶を様々にプロットして、僕たちが忘れてはならない思い出や前に進もうとする気持ちを物語にしたファンタジー作品だと思う。
廃墟と、そこにあった楽しい思い出は割と思いつきやすいかもと考えたりしたが、東京でミミズが出てくる扉が地下鉄の中、つまり、地下鉄の昔の駅なのか打ち捨てられた路線なのか、そんなところから出てくるというのも、今でもスクラップ・アンド・ビルド一辺倒に見える東京に住んでる僕らにとっては示唆的だった。
誰にでも、楽しかったのに苦い思い出になってしまったことはあるだろう。
思い出すと辛くなる楽しい思い出もあるかもしれない。
悲しすぎて怒りともつかない複雑な気持ちになることだってある。
廃墟は、楽しい思い出がたくさん詰まっていたはずなのに、今では打ち捨てられて、人々が近寄らなくなったり、忌み嫌らわれたようところで、複雑な人々の記憶や気持ちが絡み合ったよう場所のメタファーだ。
思い出とするには寂れてしまって、悲しさだけが残ったり…。
そして、うしろ戸は、それに鍵をかける扉だ。
多くの人が、記憶としてとどめるには辛く、鍵をかけて思い出さないようにしたいもの。
或いは、鍵をかけて、現実を見ずに楽しい思い出としてだけ残そうとしたいものも、そんな類かもしれない。
東日本大震災で行方不明になって見つからない人は、まだたくさんいる。
それは、阪神淡路も、集中豪雨や台風での氾濫、土砂災害でも同様だろう。
一瞬で多くの人の思い出も命も何もかも根こそぎ奪ってしまうもの。
怒りの矛先などどこに向けて良いのかも分からない。
それでも、人は立ち上がり前に向かって歩もうとしているのだ。
そして、廃墟も、こうした災害で廃れたような場所や地域も、決して忘れてはならないところのはずだ。
僕たちは、過去にもっと学び、もっと長期的なスパンで、都市計画も物事も進める必要がある気がする。